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ようやく退院しました。
入院してる間に、仕事先がぶっつぶれちゃったよ?さっさと小説を仕事に
しないとなぁ。
更新も再開させたいところですが、むかしにちゃんねるに書いた
ファイナルファンタジー11の短編小説が、まとめサイトに掲載
されていて自分のサイトに掲載していないのはさみしいな。
と入院中に思えたので、あえて修正せず(固有名詞の致命的な間違いがあったけど・・)。
そのまま。

ファイナルファンタジー11のベータテストの状況を小説化したものです。
実話がわりと入っています。

デュナミス・ヴァナディール

流れ出した砂時計は、私の手の中で、時の流れを静かに鳴らしている。
「ん……砂時計は、確かに動いてる。
 ここがデュミナスって事は、間違いないわね。それにしては……」
 違和感を拭えない。砂時計を使って転移してきたここに、戦場の切迫した空気はない。
 南サンドリアのモグハウス前は、耳鳴りがするほど静まりかえっている。
 デュミナス名物の石像やモンスターは、どこにもいない。仲間の姿も。
「ここ、デュミナスよね?にしては、普通に陽が昇り始めてるけど。
 もしかして砂時計が壊れてるとか……ねぇ、コーネリア?」
「砂時計に破損があれば、作動すらしないはずです」
 ウィスパーボイスと共に、サンドリアと過去に悔いを残す幽霊が現れた。
 死してなお、裏世界に潜む闇の王討伐に働く女……コーネリアの足下から
沸き立つ金色の泡は、使い魔のように四方へ散り、街路へ、裏路地へ飛び込んでいく。
「……探ってみましたが、南サンドリアに存在するのは私たちだけのようです」
「そんな……私と一緒に、五十人近い仲間がデュミナスに入ったのよ?誰もいないなんて」
「原因は不明です。確かなのは、ここが暗き闇に落ちた異世界、いつと知れない過去という事」
 金髪の幽霊と私は、無人の城下町を歩きながら、デュミナスとの違いを数えた。
「空の色も空気も澄んでるし、獣人に占拠された感じじゃないわね……」
 街の外へ通じる門を塞いでいるはずの、闇の障壁がない。いよいよデュミナスらしくない。
 門の外から、金色の泡がコーネリアの元へ戻ってきた。主人を困惑させる知らせをもって。
「冒険者よ。どうやら、このデュミナスは、ロンフォールへ続いているようです」

「うおおっ?」
 城壁の外に出た途端。私は耳を喧噪に塞がれ、思わず後ずさった。
「な、なによこの人の数はっ?」
 むせ返るような群衆の熱気。道化師らしい人々と観衆の笑い声が、
抜けるような青い空に響いている。
「なんてお祭り騒ぎ……ザルカバードにまで響いてそうね」
 ハロウィンのキャンペーンでも、三国に集まる人間はたかが知れている。だというのに、
城門から見渡せる限り、西ロンフォールの森に冒険者があふれかえっている。
 私が知る限り、ヴァナディールでこんな大規模なイベントが起こったことはない。
 誰もが冒険を忘れたように。クエストやミッションの苦労は誰からも聞こえない。
 ロンフォールの森で、思い思いに雑談を交わし、あるいはただ、風景を眺めている。
冒険者にとって、ヴァナディールで時間を過ごすことが、何にも代え難いというように。
「街に人がいないと思ったら。外でイベントをやってたのね。
 ねぇコーネリア。デュミナスの時代って、こんなに平和だったの?」
「闇に落ちた世界と、過去は同意です。この光景は遠い過去に違いありません、が」
 金色の泡をあちこちへ飛ばしながら、コーネリアは油断無く辺りをうかがっている。
「この世界に、デュミナスの影はおろか、闇の王の存在も感じません」
 コーネリアの体を、すれ違った冒険者の肩がすり抜ける。彼女は物憂げに笑った。
「この世界に私がするべきことはない証拠ですね」
「コーネリアになくても、私にはあるってことね。この世界に呼ばれた意味が」

 人混みを逃れて、私たちは城壁の影で着替えをすませた。
 どういうわけだか知らないけど、お祭りに参加している人々はみんな軽装なのだ。
冒険者らしい人にしても、初期装備に毛が生えたような防具しか着ていない。
「アダマンキュイラスなんて着てたら、目立ってしかたないっての」
 理解できない状況下で注目されるなんて、敵陣の中でインビンジブルを使うくらい自殺行為だ。
「初期装備を持ってて助かった……っと。おまたせ、コーネリア」
 着替えている私をマントで覆ってくれてたコーネリアは、小さく頷いた。
「冒険者よ。砂時計の機能は、時間を越えて冒険者を派遣する力。
 ヴァナディール・サンドリアへの道筋は、私があなたたちを必要としたから、
 開けました。だから」
「同じように、誰かが私を必要として、この世界へ導いたってこと?
だったら、砂時計を使った仲間も一緒に来るはずでしょ。どうして私だけ」
 愚痴りながら、遠くで賑わうお祭り風景を眺める。
「石像と獣人に占領された街を開放しろ、って話なら目的はわかりやすいのに。
 こんなお祭りの中で何をしろっていうの?」
 途方にくれて見上げたサンドリアの城壁には、旗が揚がってない。
 バストゥークから来たというガルカの話が聞こえたけど、彼の口からは、
誰もが熱波にうんざりするセルビナ海岸の暑さは語られない。
 レベル30を越えた冒険者は、ソムログを歩く時に敵に見つからないルートがない、と泣いている。
「インビジ系の魔法がない世界ってわけじゃ、ないわよね。使ってるタルタルはあそこにいるし」

 城門からラテーヌへ伸びる林道のそばに座り、そのタルタルはサンドリアの城門を 見上げていた。
 彼は身じろぎひとつせず、肩に載せた何かを構えるようなポーズで自分を取り囲む 群衆を向いている。
「インビジを使って隠れてるタルタルがそんなに珍しいのかしら」
 透明のタルタル前には、数十人のタルタルが横並びで座っている。
彼らの後ろには更に大勢のパフォーマーが、それぞれに芸を展開している。
「まるで子供をあやしてるみたい」
 ロンフォールのお祭り騒ぎを目指してやってきた旅人は、透明のタルタルがここに
いると聞いていたのか、汚れた装備で坂道を登ってくる。
「冒険者よ。あなたの砂時計を貸して下さい」
「ん、いいよ……って、コーネリア。時計を捨てれば、元の世界へ帰れるのよね、私。
 ここはデュミナスに違いないんだから」
「おそらくは。しかし、あなたがこのデュミナスから脱出すれば、何も変わることは ないでしょう」
 そう言いつつ、コーネリアは砂時計の頭を人差し指で叩いた。
「私に負わされた責任は多いってわけか……って、何やってるのコーネリア」
 コーネリアが触れた砂時計の頭は、青白い花を咲かせていた。いや、それは
とても小さなルーン文字で構成された、魔法陣。
 コーネリアは、魔法陣に問いかけるように、私が知らない言語を唱えた。

「砂時計に留まる人の思いは、この時代を覚えていたようです」
 そう言ったコーネリアの視線は、砂時計が咲かせる魔法陣に落ちたまま。
「この世界は近く、転生の時を迎えます。
 ガルカだけではなく、人もミスラも……獣人も」
 コーネリアの話を、素直に受け取れない。転生についての知識は、
バストゥークのガルカから聞きかじって、一通りは知っている。
「転生って、死んだ人が生まれ変わることを指すんでしょ?
 コーネリアがどうやって得た情報か知らないけど、それって」
「ヴァナディールの歴史には、わずかな空白があります。
 全ての存在が、その時を忘れていた時間。長くを生きるガルカにさえ、
その間の記憶はないと言います。
 空白の時間を繋げる石碑があると聞いたことがありますが……どこにあるのか」
「誰もが忘れた、時間の空白、ね。
 だったら、このお祭り騒ぎは、転生の前祝いってこと?」
「ええ。皆、それぞれに転生が訪れることを知っているようですから」
 私の軽口を、コーネリアは真剣な顔で肯定した。
「って、うそ?冗談で言ったのに、私」
「生けとし生けるもの、全てが死に絶えるに等しい状況が、すぐに起きます。
 砂時計の砂が落ちきる、あと三日と数時間の間に」
 聞こえる祭囃子が、急に悲しく感じられた。

「私がこの世界に呼ばれたのって、転生を食い止めろってことなの?」
 途方に暮れたまま、人気のない東ロンフォールの森を歩く。
 デュミナスが闇の王の影響を受けた世界と考えるなら、サンドリアに
留まっていても仕方ない。ザルカバードへ向かい、転生の原因を探すつもりだった。
「……無理のようですね」
 コーネリアは呆れたように、ラングモント峠を眺めている。
 種族装備すら持っていないレベルの冒険者が、峠ヘ飛び込む順番待ちの列を
作っていた。
 洞窟の奥から響いてくる断末魔の叫び。突入した冒険者が全く帰ってこないあたり、
洞窟の入り口には死体の山が築かれているだろう。
「転生の前に腕試し、っていっても無謀すぎるわ、あれじゃ。
 テレポヴァズは不思議な力でかき消されるし……どうしたもんだか」
 やりきれない気持ちで、サンドリア城を振り返った。その私の視線に、赤い鎧の
一団がひっかかった。
「うわ。久しぶりに見た」
 彼らを何と呼んでいただろう。全身を赤い甲冑で包んだ騎士団。その装備は、
炎の色をしたオーラを纏って、王国の騎士とは全く違う威厳を放っている。
 東サンドリアを流れる川に足を浸し、赤の騎士団が十人以上も集まって
何かを話し込んでいた。

「引き留めてごめんなさい。赤の騎士なら、ご存じかと思って。
 これから起こる転生の原因」
 騎士団の打ち合わせが終わるのを待って、私は騎士をひとりつかまえた。
 いぶかしそうにする騎士に、私は荷物から装備を取り出した。
愛用のアダマンキュイラス、レリック装備。私の銘を入れた片手剣。
 この世界の誰も、装備していないアイテム。その数々に、騎士は驚きの声を上げた。
『すごいものだな。実用を考えれば、ジャッジ装備の効果が味気なく思える』
 騎士は、私のヘラクレスリングにひとしきり感心し『なるほど』とひとつ頷いた。
『君が未来の冒険者だと信頼しよう。ようこそ、カオスへ』
 騎士は私と握手すると、自らアーメットのフェイスガードを上げ、素顔を見せてくれた。
口元を髭で覆われた丸顔は、いかつい鎧とはひどくアンバランスで、人なつっこい。
寝不足なのか、充血した目は疲れていて、彼の仕事の過酷さを悟れた。
『どうだ。君にしたら、物足りなく思えるだろう?
 各国を繋ぐ交通手段は、まだ開通していない。バストゥークの跳ね橋は
意味もなく動いているだけだ。
 おまけにギルドが活動していないから、簡単な装備や食事すら作れない状態なんだ』
「だから、あれだけお祭り騒ぎしてるのに、花火がひとつも上がってなかったんですね」
『ほぅ、花火ね。……予定になかったな。
 いやいや、うちの事情でね。
 それより……そうか。転生の原因を知りたいか』

『確かに君の言うとおり。これから転生の前準備が始まる。
 全ての冒険者には、一旦休んでもらう』
「まるで、騎士さんが転生させるような……」
『似たようなものさ』
 赤い甲冑の騎士は、細い目をさらに細めて笑うと、話を続けた。
『俺達は、ヴァナディールに生きる全冒険者の望みを、最も良い形で叶える。
 君の言う転生に関わっていて当然だろう?』
 私は、自然に頷いていた。……なぜだか、騎士の言葉に、思い出したことがある。
『転生の後、生きたいと望む全ての冒険者の希望を叶える。
 彼らにはより広い世界と、自由を与えよう。君が知る世界の始まりだよ』
 やっと始まるんだ、と騎士は言った。
『だから、今日はヴァナディールの終わりではないよ。
 長い長い、永遠に続く冒険の始まりだ。だから皆、待ちこがれている。終わりをね』
 ヴァナディールの始まりを、目撃する幸運。騎士は言う。全ての冒険者は
それを期待していると。
 まだ始まっていない。不完全なこの世界は、冒険者と共に終わりを迎え、転生を待つ。
『君がするべき仕事はないよ。我々のスケジュールは滞り無く進んでいる』
 しかし、と騎士は私に真正面から向き直った。
『私には、君に聞きたいことがある。
 君がこれから死ぬとしたら、転生を選んでくれるかい?
 まだヴァナディールで生きたいと望んでくれるか?』

 夕暮れに染まるサンドリアの空に、祭囃子が響いている。
「冒険者よ。あと二十分で、砂時計の効力は失われます」
「そう。ったく、結局、私がここへ何のために呼ばれたのか、わからなかったわ」
 東サンドリアのお祭り騒ぎに戻ってきて、ただ時間が過ぎるのを待つ。
 終わりを待つ、人々の喜び。新しいヴァナディールの始まり。
残り少ない時間を生きる人々の期待を応援できると、私の仲間は何人言えるだろう。
「彼に、私の姿は見えなかったようですね」
 砂時計を手に、コーネリアは群衆を眺めている。
 転生を待つ冒険者に囲まれて、赤い甲冑の騎士は何やら礼を言っている。
「人気あったのねー、あの人。知らなかった」
「……冒険者よ。どうしてあの時、騎士にあんな答えを出したのです?」
 そう聞いてきたコーネリアは、ひどく神妙な顔をしている。
「ん?私があの髭面に言ったこと、気に入らなかった?」
「あなたの考えに口出しするつもりはありません。
 しかし、彼が期待していた答えは」
「わかってるわよ、そんなこと。
 カオスにタイムスリップしたせいか、転生前の記憶が戻ってるんだから」
 誰もが待ちこがれていた時間がやってくる。
 他の場所にいる仲間と、リンクシェル会話が通じないという声があちこちから響いた。
 遠くから津波が押し寄せるように。サンドリアへ終末が訪れる。

「終わった……わね」
 サンドリアの丘陵を抜ける風に、冒険者達の髪はなびかない。
 凍ったように動きを止めた群衆は、幻だったように次々と消えた。
 アダマンキュイラスを着込んだ私は、サンドリアの城壁を斜め前から 
眺める辺りへ、ゆっくりと歩み寄った。
「どうするつもりです、冒険者……シェリーよ。砂時計の効力はもう」
「ちょっと待ってね。よーく目を凝らさないと見えないんだから」
 インビジで姿を隠したタルタルは失せている。パフォーマーが囲んでいた
辺りには、銃のような形をした不可視の物体が転がっていた。
 コーネリアは金の泡で銃を照らし、その形を露わにした。
 Vana'diel Windと銘が刻まれたそれは、銃口をガラスで塞がれている。
「銃ではないようですね。砂時計とは比べ物にならない、
大勢の人々の念が……いえ。今もまだ、どこからか念を注がれています」
「ご名答、コーネリア。転生を待ちきれない魂がこれに宿ってるの。
 だから、終わらせないと」
 私は剣を抜いた。
「転生の後、待ち受ける世界にあるのは、騎士が言うような希望だけじゃないわ。
 だけど……だけどね」
 いつかまた、迎える終わりの時にもお祭り騒ぎになればいい。
 転生の終わりにある幸せを願い、私は剣を振り下ろした。
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